ベナンでの協力隊生活


by ikes12
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
b0071421_2135617.jpg 3月19日(月)にジャコトメまで授業の視察に行ってきました。
 日本の援助でケニア(ケニアはアフリカの中では理数科教育が進んでいる国)で研修を受けてきた教師の授業の視察でした。
 ジャコトメは私の住んでいるポルトノボから東西の正反対で,コトヌーから車で2時間半ぐらいのところにあります。
 今回の視察は,私の配属先(ジャコトメは管轄外)の仕事で行ったわけではなく,JICAが今後ベナンの理数科教育に力を入れていきたいということで,その一環として参加させてもらいました。

 視察した授業は,ベトメー中学校の3ème(中学4年生)の理科「凸レンズ」の内容でした。「凸レンズ」の内容は日本では中学1年生で学習する内容です。これだけ聞くと,やはりベナンは教育内容のレベルが低いのかと思うかもしれませんが,全体を通してみると5ème(中学2年生)で水溶液のモル濃度(日本では高校1年で学習する)の内容が出てきたりしており,ベナンの教育プログラムが要求している学習内容のレベルは日本よりも高いぐらいです。ただし,プログラムが要求しているレベルと生徒の実際のレベルがかけ離れすぎているので,そこが大きな問題です。
【授業の様子】
b0071421_2140171.jpg 授業を行った教師は,この地区のCP(コンセイユ・ペダゴジックという教科指導員のような立場)で,説明の仕方や生徒とのやりとりなど,今まで私がベナンで見た授業の中でもかなり質の高いものでした。ただし,補足説明や板書の構成など,さらに改良できる点はありました。

b0071421_21423532.jpg クラスの生徒数は67人。かなりぎゅうぎゅう詰めの状態ですが,これがベナンでは普通です。
 生徒全員が教科書を持っておらず,当然問題集などもないので,勉強する手段はノートしかありません。

【教室】
b0071421_214482.jpg この教室がベナンでは一般的。ブロックを積んでセメントで固めただけのもの。ベナンの建物は基本的に高いものでもブロックとセメントで造られており,きれいに見えるかどうかは色を塗るかどうかというところ。地震がないから許される建て方です。

b0071421_21454126.jpg 


 今回の視察のもう一つの目的は,日本の資金援助で建てられた実験室の状況を確認することでした。
【ジャコトメ中学校】
b0071421_21485816.jpg

b0071421_21493827.jpg

b0071421_21513564.jpg

b0071421_21522337.jpg

b0071421_2153015.jpg

b0071421_21533083.jpg
 1つの建物で1つの実験室になっている。机の数は24個あり,かなりの人数でも使えるようになっている。
 しかし,水道の蛇口やコンセントの差し込み口がほとんど壊れていた。蛍光灯も半分ぐらいなかった。理由を尋ねてみると,生徒が休み時間に壊して持って行ってしまったらしい。どうやらどこかで売ってお金に換えているようである。
 実験準備室の中には,わずかな薬品とわずかな器具しかなかった。これでは生徒が実験するのは到底不可能で,教師の演示実験すらままならない状態である。

【ポソトメ中学校】
b0071421_21585226.jpg

b0071421_21592219.jpg

b0071421_215958100.jpg

b0071421_2205970.jpg
 こちらは1つの建物で,実験室が2つとパソコン教室が1つという造りになっている。ちょうど実験室の1つで授業が行われていた。しかし,実験はまったく行われておらず,ここには実験器具や薬品が1つもなかった。机の数も40人分しかなく,普通教室の机を隙間において授業を行っていた。
 もう1つの実験室は,本が山積みにされた状態で倉庫のような感じになっていた。そこの学校の教師に尋ねてみると,「図書館」だという答えが返ってきた。ここに積まれていた本には使われた形跡が全くなかった。
 パソコン教室には9台のパソコンが設置されていた。中に入ることはできなかったのでどの程度使えるかは分からなかったが,一応授業で使っているらしい。教室の隅には壊れていて使えなさそうなものが積まれていた。
 この3つの教室すべてにエアコンがついていた(最初の実験室の写真参照)。確かにパソコン教室には必要だと思うが,実験室には必要ないはずである。とはいえ,電気容量が足りなくて使えないらしい。

 日本の援助で造られたものが,このような状態になっているのを目の当たりにして,思わず寂しい気持ちになりました。何とか有効活用する道を探っていかなければなりません。
[PR]
by ikes12 | 2007-03-22 22:06

授業のようす

 1月に入ってから,近くのリセビアンゼンという学校(中高一貫)に授業の見学に行っています。当然,日本とちがうところが多く驚くこともたくさんあります。

【リセ・ビアンゼン】
b0071421_185862.jpg
 まず,1日の日程は基本的に次のようになっています。
 1時間目  8:00~10:00  
 2時間目 10:00~12:00
 お昼休み 12:00~15:00
 3時間目 15:00~17:00
 4時間目 17:00~19:00
※ 体育は7:00~10:00,16:00~19:00に行っている
  (おそらく昼間は暑すぎるので)

 1つの授業は2時間が基本になっていて,放課はとられていません。これをはじめに聞いたときは,2時間もずっと勉強して放課もなしですぐに次の授業というのはきつすぎると思っていましたが,実際は時間通りに授業が行われることはありません。教師(生徒も)が大体10分から15分ひどいときには30分ぐらい遅れてきて,授業が終わるはずの時間の30分前ぐらいから授業が終わっていきます。きりのいいところで終わるという感じです。だから自然と休み時間はできます。
 2時間ぐらいの幅を持たせておかないと,実質1時間ぐらいの授業が成立しないということだと思います。1つの授業を1時間にするというのはベナンでは難しそうです。


【高校3年生】
b0071421_1105218.jpg 1クラスの生徒数は50~70人ぐらいで,教室の中はいっぱいという感じです。教科書を持っている生徒は全体の4割ぐらいで,残りの生徒はノートしか持っていません。問題集とかはなく,勉強をする用具はノートしかないのでとにかく黒板を写さなければなりません。
 テストに合格しないと進級できないので,中学生でも留年する場合が多くあります。また,お金がないために通い続けることができず,働いてお金を貯めてから復帰するということも多いようです。
 日本のように就学年齢というものがはっきりしていないので,18歳で中学2年生という場合も結構あるようです。中には,中学3年生で子どもがいるということも・・・。


 教師は生徒から一目置かれているという感じで,教師の中には近くを歩いている生徒を捕まえて食べ物を買いに行かせることがよくあります。生徒はそれが当たり前という感じで素直に買いに行っています。教師が荷物を持って歩いていると,必ず生徒のだれかが「荷物を持ちましょうか」と言ってきて,その荷物を運んでいる。このあたりは日本とはずいぶんちがいます。
 生徒にとって教師は絶対のようで,言うことを聞かないと体罰をされたり,罰を与えられたりします。木の棒を持っていて,それでたたく教師はたくさんいます。


【黒板】
b0071421_11453.jpg 授業の進め方は,教科書を読み,教科書に質問が書いてあるのでそれを教師が簡単に質問し,正解を板書するという形です。話し合うとか考えるということはあまり行われていません。生徒にとっても教師の板書する正解をノートに写すことが授業の主体となっています。
 黒板の質は決して良くなく,チョークもほとんど白のみなのでかなり見にくい状態です。しかし,黒板があるだけでも良しとしなければいけません。

 生徒の授業を受ける態度は,日本人の目から見ると決してほめられるものではありません。私語,立ち歩き,外に出て行くなど基本的な授業を受ける態度が身についていません。ただし,ベナン人の教師たちはあまり問題に思っておらず,それが当たり前という感じで授業をやっています。このあたりを改善するだけでもずいぶん変わってくると思うのですが,ベナン人教師にこれは大きな問題だと言ってもあまりピンとこないようでした。


 ベナンでは,教員不足,教員の質の低さがやはり大きな問題になっています。教員不足については調べてみて驚いたのですが,私の職場が管轄している78校のうち20校は正規教員が1人もおらず,すべてが非常勤でした。正規教員が多くいる学校でも半数にも満たず,非常勤に頼らざるを得ない状況になっています。そうならば,非常勤を正規教員として採用すればと思うのですが,他に別の仕事をしていたり,大学生でアルバイト代わりにやっていたりする人が多いようです。正規教員になるためにはかなりのお金と時間がかかるようなので,そこまでする人も少ないようです。

【ストライキ】
b0071421_14427.jpg 教員の給料も影響しているようです。正規教員の給料は60000~300000CFA(12000~60000円)ぐらいで,これはベナンの中ではよい方の給料なんですが,支払いが滞ったり,ボーナスが支給されなかったりすることがよくあるそうです。
 非常勤の給料は時給1000CFA(200円)で週6時間までと決められているようで,最大でも月に24000CFA(4800円)ぐらいしか稼げず,これだけでは生活できないので他に仕事をしている人が多いようです。この非常勤の給料の支払いも滞ることがあるようです。
 このような状況なので正規教員や非常勤によるストライキが度々行われます。ストライキがあれば当然授業は成立しないので,学校が休みになります。この1月だけでも6日間ストライキが行われました。


 ストライキが度々あるので授業の進度にも影響しています。年間計画によれば今頃は全体の半分(3単元目終了)ぐらい進んでいなければいけませんが,現状はようやく1単元目が終了するという状況です。
 これはストライキだけでなく授業のスピードにも問題があります。1回の授業で進むのは教科書1~2ページ程度で,このペースでしっかりやったとしても到底すべての内容は終わりません。すべての内容を終わらないまま上の学年に進級するということが当たり前になっているようです。
 また,場合によっては非常勤すら未だに見つからず,10月から1学期が始まっているのに現在も授業が行われていないということもあります。
[PR]
by ikes12 | 2007-02-06 01:12